I🎔マンデルブロ集合

マンデルブロ集合という物がある。
知って以降、ずっとこれに魅了されている。

マンデルブロ集合とは

数学者ブノワ・マンデルブロさんが研究したので、彼の名前が付いている。
因みにマンデルブロさんはリトアニア人の両親からポーランドで生まれてフランスで育ってアメリカに移住した人。

複素平面上の点に対してある漸化式を適応して、発散までの計算回数に応じて色付けをした物。 発散しなかった部分(この画像では黒)がマンデルブロ集合で、拡大した時に他から独立した様に見える部分も含めて、全部が繋がっている。
全体像はカージオイドと呼ばれる。 ギリシア語で「心臓形」という意味。

複素数 𝒸 に対して、最初はゼロから、後は次々に 2 乗して元の数を加える、を繰り返す。

⎰ 𝓏_n+1 = 𝓏_n² + 𝒸
⎱ 𝓏₀ = 0

実部と虚部を別に計算する場合、複素数 𝑎+𝑏𝑖 に対して、最初は 𝓍₀+𝓎₀𝑖 をゼロに、後は (𝓍_n+𝓎_n𝑖)² を展開した操作をして元の数を加える、を繰り返す。 絶対値が 2 を超えると発散するので、2 乗を計算したついでに 𝓍_n²+𝓎_n² が 4 を超えたらループを終了する。

⎰ 𝓍_n+1 = 𝓍_n² − 𝓎_n² + 𝑎
⎱ 𝓎_n+1 = 2𝓍_n𝓎_n + 𝑏

10 代の頃

『PC マガジン』誌に PC-9801 用の記事が載っていたのを見たのが、私とマンデルブロ集合との出会い。 掲載号は持っている筈なんだけど、引っ越しを繰り返している間に行方不明。
初めて見た画像にすっかり心奪われて、当時持っていた MZ-2500 に移植してみた。 でも 8bit マシンの BASIC だと、ちょっと深い部分を描画するのに何十時間も掛かったのを覚えている。 その遅さを解消すべく機械語にしてみたけど、浮動小数点演算は IOCS(BASIC の下請けルーチン)を使ったので、それ程は速くならなかった。

20 代の頃

他機種にはない多色表示が可能だった X68000 を持っていたけど、マンデルブロ集合を描画した覚えがない。 今思うと、ちょっと勿体無いな。 もしかしたら 65536 色モードの画素が正方形ではない事で興醒めしたのかも。

会社の WS で何かコードを書いた覚えはあるけど、X11 は使わなかったと思う。 滑らかにズームするアニメーションを考察した記憶がある。

40 代の頃

フと思い立って JavaScript+canvas でコードを書いてみたら、まあまあの速さで動いた。 いい時代になったモンだ。
でも、10^-14 位のちょっと深い部分を描画すると、隣のピクセルとの差が出なかったり、色の境界がよれよれになっちゃう。 おそらく JavaScript 組み込みの 64bit 浮動小数点型のアンダーフローだと思う。

画像を残すのと高速化の為に、後で Java で書き直してみようと思った(canvas では画像が残せないと勘違いしていた)。 Java を選んだ理由は、スクリプト言語よりは速い筈だし、WindowsAPI で GUI 物のコードを書く知識がなかったから。
それを Twitter で呟いたら、元いた会社の先輩プログラマだった人から、「高速化するなら C じゃないのか」という指摘が。 確かに。
そこで、GUI ではなく計算結果をバイナリで吐き出すコンソール用のコードを C で書いてみたら、JavaScript 版の 22.5 倍速で動作した。

更にアセンブラで書いてみたくなって、x87(数値演算ユニット)を扱うコードに初挑戦。 x87 は面白いアーキテクチャで、レジスタが 8 本あるのに任意の 2 本のレジスタで演算は出来ない。 レジスタをスタックとして扱って、スタックトップがアキュムレータになる。 癖のあるアーキテクチャだけど、パズルみたいで面白い。
C に対して 1.4 倍速で動作した。
その時には「後で Java+Swing で GUI のフロントエンドを作って、このプログラムをキックする形にしよう」なんて思いはしたものの、未だに手付かず。 駄目じゃん。

リンク

• Mandelbrot Fractal Set 3D - Enjoy the Trip ♪ ♫ ♬
  カージオイドを仏の坐像に見立てた曼荼羅の様で、見せ方が面白い。
• A Trip to Infinity - Mandelbrot Fractal Zoom (Depth 1.2e1077) (4k 60fps)
  こんな風にダイブ出来たら面白いだろうな。